週刊ワークス“以心伝信

  週刊紙の人気コラム「以心伝心」のバックナンバーが閲覧できます。

  建設業界に留まらず、社会風刺や旬のネタまで、作者がバッサリ切り捨てます。


2008年2-4号掲載

"労働と報酬"

ある社長は
「一般作業員の労務単価が低すぎる。
バブル期でさえ年収240万円だった。今ではコンビニのバイト店員よりも低い」
と嘆く。

だから、3K職場の建設業には寄りつかない。
半農業従事者に支えられた建設業も
少子高齢化の余波を受けてますます「人が集まらない職種になった」という。

加えて建設業は不況産業の代名詞。
建設業を営む親は「建設業を選択しない道へいけ。公務員がいいぞ」というらしい。

これでは日本の建設業もダメになる日も近い。
船頭ばかり多くて、舟そのものが動かないありさまだ。

地域に建設業が存在しない日も又近い。
建設業イコール地域の雇用の場だったはずが、
地域に人もいなくなり、建設会社だけが残るはずもない。

それでは外国人労働者を入れてという考えも浮かぶが、
単一民族主義を厳守する日本に適合するかどうか疑問だ。

まず、労務単価を上げて、汗して働く労働者を保護していくべきだ。
彼らは国土を第一線で守る重要な人物である。

知的労働も必要であるが、肉体労働との調整を図る必要がある。
その汗に見合う報酬を支払うべきだ。

その点からも建設業を活かす道を考えるべきである。


2008年2-3号掲載

"雪"

朝起きると雪化粧。
胸が高鳴り「久しぶりにスキーに行くか」という話し。
30年前、長野のスキー場で1カ月バイトしたことがある。
そのとき、滑れるようになった。

昔を想い出して、子供3人嫁一人を乗せてレッツゴー。
スキー場の下見は数日前に行った。
九重森林スキー場という場所は、九重飯田高原にある。
今やスノボーが全盛。
あちらこちらで若いカップルが楽しそう。

昔はバンダナと長い髪をなびかせていたが、今はデブ、ハゲなので、ウェアーもボンレスハム状態。
それども滑れるイメージがあるので、自信満々にゲレンデへ。

オイ、オイこんなに靴が痛かったか?
身体も重く、滑って転ぶと起き上がれない。
おじさんは冷や汗タラタラ。

愚息は、そんな親父を見て不満タラタラ。
それでも威厳を見せようと山頂から直滑降。

「こいたぁ、いけん。怖い、怖い、止めて止めて」といえども速い速い。
バタバタしているおいさん。

息子の「チッ」という舌打ちが腹立たしいが、何も言えずかっこ悪い。
それでも気を取り直しスキーレッスンを息子へ。

先ずはスキーの板をはいたまま山頂に登ろうと提案。そしてボーゲン。
ハの字で滑ろうよと。

まぁとにかく、彼の気持ちを持ち上げて「うまい、うまい」と褒める。
俺も親父という使命の練習中だからと心の中で感じながらの一日であった。


2008年2-2号掲載

"食"

ギョウザの中に殺虫剤とか、食品の賞味期限切れの問題とか、食に関する事件が昨年より続々と表面化した。

効率化を求めた台所は、便利と裏腹にある危険性(リスク)を背負った。
つまり自らが食に対して責任を持ちましょうという神の声ではないのか?

畑を借り、自らの手でにんにくやニラを植え、自ら料理しましょうという話だろうか。
食の自給量の低下が叫ばれて久しいが、それを身をもって体験したということか。

近い将来は、戦後のように、買い出しに農家に向かう時代になるのではないか。
やはり農地を持っている人の方が強くなるような気もする。

都会では、マネーゲームで忙殺されているようだが、その実態はバブルのようなものである。
実感のない空虚なお遊びに過ぎない。

その都会の人は、食の問題で泣いている。
砂を噛むような現実と味などない、ただ生きるだけの食をとっている

食を輸入に頼るのはよしましょうよ。
日本人の食は、国内で解決するよう努力しましょうよ。
安全ならば少々高くても買って、日本の農業を再生させましょう。

地方を大切にしましょう。
道路暫定税率の問題もしかり。

もっと地方を大切にする政策にもつながると思う。
この食の問題も。

わかったかい。
都会のネズミの諸君。


2008年2-1号掲載

"父"

 人の情を感じない他人に対して烈火のごとく叱る。
そんな場面は決まって夜だった。
夕食の席であり、一家団欒の場であった。

母を幼くして亡くし、父との同居も許されず、親戚の家にたらい廻しにされた。
他人の顔色をうかがい、生きてきた人生であったらしい。

その父が禅と出会い、昭和の名僧と呼ばれた紫山老子に付き、
厳しい中の優しさに触れたのかもしれない。
人の心の奥底に住む本当の優しさを学んだ。

ある日、山寺に一人の画家志望の青年が出現した。
父が酒場で一緒になって泊まる場所がないからと家に連れてきた。
一週間も泊まり、突然いなくなった。

そして一ヶ月が経過したある日、警察から電話があり「何某という青年を知らないか」という。
画家志望の青年だった。
寺から盗んだものがあるとのこと。

父はその青年に再会した。
別室にいる青年は、ただ涙を流していたという。

父は
「なんで破れたワシのセーターを着ている。もっと良いセーターがあったんじゃないか、うちにも」
と笑った。

彼は、その言葉を聞きまた涙した。

そんな事を想い出しながらわが子を叱る自分を、
その心の深さがあっての行為かと、ふと疑ってみる今日この頃だ。


2008年1-4号掲載

"サバイバル"

市場論理を建設業界にもってこられても困るという意見がある。
すべて国や県市町村が握っているのだから、自助努力等は有限であると。

市場のパイは、とりわけ土木は公共事業が大半なので、国の予算と直結している。
いくら増やそうとしても限りがあることは明白。

建築部門も政治と密接な関係にある。
国土保全や消費保護の観点から規制という枠組みがある。
新しい建築基準により、中小建設業の資金繰りが悪化している現実もある。

その中で生き残りの案
・更なる安値競争のうえ、淘汰させ企業数を適正な市場規模に縮小させる
・建設業から異業種へ転向
・海外への進出、中国やインド
・管理部門の不動産事業を含めて建設業界の業種の圧縮ー等が考えられる

しかし、成功例は少ない。
リスクはあるが、事業そのものがリスクと考えた場合の措置は、どちらかだ。
行くも地獄、退くも地獄ならば前進するしかないだろう

一方、建設業界のすべてが手を組み、何かの事業をするというのもよいだろう。
少子高齢化を逆手にとる妙案はないのだろうか。

また、発注システムの変更も発注者に提案できぬものか。
保守・管理部門を含めた工事発注手続きなどはいかがなものあろう。


2008年1-2号掲載

"あけおめ"

 最近は“あけおめ”。
本当は明けましておめでとうございます。
何でも略してしまっている若者!!色々言うとKY「空気読めない」と言われる始末。

今年はネズミ年。
チューチューとうちのカカァよりうるさく飛び跳ねまわる。
屋根裏ではチューチュー。
新婚さん家もチューチュー。
そして我が家のタコもチューチューと叫んでいる

正月も3日過ぎると、あっという間に平日ムード。
晴れ着など最近では見なくなったし、なんとなくお寂しい限り。
ほんでもって家の中にいると、1年に1回しか集まらないご兄弟の嫁さん方が、なんとなくキナ臭い匂いで険悪ムード。
「うちの方が金がかかる」「米がたらん」だの大騒ぎ。
アホの兄弟そろって煙草スパスパ、ビールガンガン昼間から飲んでると、「これだからもらい煙草でガンになるのよ」「こたつの中の足がなんで臭いのかわからない」だのてんやわんや。
姑は顔色みながら、ソワソワ。やっぱり「バカでも息子は可愛いらしい」とよその話でもするように、大笑いする嫁と嫁と嫁。
そんなこんなで、正月は過ぎていく。
平和なお話。
今年はどうなるやら。

あ!!そんな事より読者様へ。
新年明けましておめでとうございます。
本年もさらに充実した紙面になるよう努力していく次第です。
今年もどうぞよろしく。


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2006年5-2号 いわゆる愚痴の話。←Click!

2006年5-3号 どうなる日本?の話。←Click!

2006年5-4号 断固抗議の話!←Click!

2006年5-4号 妻は世界最強という話。←Click!